導入事例 SBIビジネス・ソリューションズ株式会社様
SBIビジネス・ソリューションズ株式会社(以下、SBIビジネス・ソリューションズ)は、経費精算から請求書の管理までをワンストップで行うクラウド型経費精算システム「経費BANK」を提供している。2022年3月より、同システムに、ファーストアカウンティングのAI-OCR「Robota」を組み込み、オプションサービス「領収書AI-OCR」「請求書AI-OCR」として展開を開始。深層学習を通じて経理特有の帳票パターンを予め学習させたAIにより、従来のOCRにはできない高精度な文字認識で、迅速かつ正確に帳票をデータ化できる環境を実装した。数あるAI-OCRの中から、自社のシステムに組み込むソリューションとしてRobotaを選んだ理由とは?導入の効果は?経費BANKの販売を担当するSBIビジネス・ソリューションズ アカウンティング・ソリューション部、新規事業企画課長 三田晃浩氏およびソリューション営業課長 一戸真優氏にお話しを伺った。
課題・目的
製品力・競争優位性アップに欠かせないAI-OCRを短期間で実装
SBIビジネス・ソリューションズの「経費BANK」に、「領収書Robota」および「請求書Robota」を組み込んだ背景には、お客様からのご要望があったと三田氏はいう。「経費精算システムは、請求書や領収書を確認しながらデータを入力するという作業が発生します。かねてより、お客様からは『そういった入力作業も画像で読み取れたらいいね』というお声を頂いていました。読み取りができれば、入力作業の負荷も軽減できますし、既にこういったニーズを取り入れている他社システムもありますから、競争優位性を高めるためにもAI-OCR機能を搭載するべきだと考えました」
お客様の期待に応えるため、そして製品力を高めて競争力をつけるために、AI-OCRは欠かせない機能だった。
選定理由
AIの追加学習で実現する高い文字認識精度
AI-OCRテクノロジーを検討する上では、数社のソリューションを検討したという同社だが、数あるソリューションの中から、Robotaを選択した理由は何だったのだろうか?まず絞り込んだのは、領収書や請求書であれば、どのような形式であっても読み取ることができる非定型帳票認識のAI-OCRであること。そして文字認識精度の高さにも注目した。
「ファーストアカウンティングのRobotaは、深層学習を通じて文字認識精度の向上を図りますが、精度の低い領収書や書類は、追加で再学習させて精度を上げ続けるという点が魅力でした。また、システムを停止することなくアップデートできるという点も、採用の判定材料となりました」と三田氏は語った。
API連携の豊富な実績と経理に特化したソリューション
クラウドサービスを提供する事業者としては、AI-OCRエンジンを自社システムにどのように組み込むかは重要なポイントだ。ところが、API連携できるAI-OCRは他にあまりなく、その点、ファーストアカウンティングのソリューションは、API連携の豊富な実績がひとつの決め手となったと一戸氏はいう。また、多くの会計ベンダーや経費精算ベンダーに採用されていることも後押しとなった。
「加えて、Robotaが経理に特化しており、かつ帳票定義不要のAI-OCRであることから、インボイス制度などの法対応で請求書フォーマットに変更があってもすぐに対応可能なことも重要な評価ポイントでした。また、知識も豊富で、しっかりサポートしてもらえることや、将来的な展開も含めて、長いお付き合いができることも期待しました」と一戸氏は続けた。
選定理由
どのような形式の請求書・領収書でも読み取れる非定型帳票認識
システムを停止することなくアップデートが可能
AIの追加学習による継続的な精度向上が可能
AIの追加学習による継続的な精度向上が可能
経理に特化したソリューション
サポートや将来的な展開にも期待
導入時のサポート
柔軟な営業サポートで乗り越えた開発・検証
Robotaの採用が決定し、開発・検証を進める中、テスト環境におけるAI-OCRの読み取り枚数の制限が課題として表面化する。
「システムへの組み込み開発において、残り枚数を意識してテストを控えるわけにはいきません。要望を伝えたところ、サンドボックス環境で枚数の制限なく読み取りテストができるよう柔軟に対応して頂けたので、大変助かりました。円滑に検証を進められたのはそういったサポートのおかげです」と一戸氏は語った。
三田氏も、「柔軟な営業サポートには大変満足しています。開発段階でのこのような対応がなければ、期限までの導入は難しかったかもしれません」とうなずいた。また、契約締結までのやり取りも、丁寧かつスピーディであり、その点においても高く評価された。
導入効果
Robotaの期待以上のパフォーマンスで機能拡張も視野に
稼働後、経費BANKの契約状況は順調に伸びているという。特に、電子帳簿保存法で、領収書などを電子化しようという動きが活発になっており、せっかくスキャナ保存や電子保存するのであれば、手入力をなくしたいというお客様が多いためだ。「AI-OCRの機能を提供できるかできないかは大きな差ですから、営業も自信を持って売れるようになりました」と三田氏はいう。
お客様からの評判も上々で、「読み取り精度が思っていたよりも良かった」、「一度やったらやめられない」など、多くの反響が見られた。「当社のサービスは100枚単位での課金です。最初はお試しでスモールスタートされる企業も多いのですが、すぐに枚数を増やしたいと追加のご発注を頂くケースも見られます」と一戸氏は語った。今後は、回転補正※1や台紙切取※2の機能拡充なども視野に入れて検討したいという。
Robotaの読み取り機能は、実際に使ってみてこそ、その便利さがわかる。SBIビジネス・ソリューションズでは、社内でもRobotaを使用しているが、三田氏は自身の経費精算でその効果を実感しているという。「例えば経費精算で、企業の長い正式名称を確認しながら毎回入力していたところ、領収書の読み取りによって入力時間はこれまでの1/10くらいになったという感覚があります。経費精算が多い人ほどメリットが大きいのではないでしょうか」
※1 証憑の向きを補正する機能
※2 各企業で利用されている申請台紙・用紙に添付されている請求書や領収書を検出する機能
今後の課題と展望
中小企業における経理DXの推進で連携
SBIビジネス・ソリューションズは、グループとして地方創生にも取り組み、地域金融機関とも連携して、地方の中小企業の経理DXに貢献することを目指している。一戸氏は、「ファーストアカウンティングとは、中小企業のDXを実現するためのパートナーとしても連携できることを期待しています」と言葉を継いだ。
インボイス制度への対応に期待
今後のビジネス経理を取り巻くトレンドのひとつに、インボイス制度への対応がある。インボイス制度は、経理業務がアナログのまま突入すると、ただ工数が増えるだけで大変なことになると三田氏は考える。「今、全ての会社にデジタル化が求められています。とはいえ、使いづらいシステムを入れても、逆に工数やユーザーの負担が増えてしまうこともある。特に、インボイス制度でいえば、「T+13桁(法人番号)」からなる事業者登録番号の読み取りは必須となるでしょう。これについても、ファーストアカウンティングのエンジンを使用して、AI-OCRで読み取って値を返す仕組みを経費BANKに実装したいと期待しています。それにより、ユーザー様の目視チェックや判断など、負担をなくす仕組みを実現していきたいです。また、Peppolへの対応についても進めていきます」と展望を語った。
最後に、三田氏は、「ファーストアカウンティングの掲げる『経理、その先へ』という世界観は、当社のビジネスにも良い影響を与えてくれるのではないかと今後も期待しています」と両社のさらなるパートナーシップ強化を見据えて締めくくった。
課題と展望
パートナーシップによる連携をより強化し、企業の経理DXに貢献
インボイス制度への対応:T+13桁の事業者登録番号の読み取りを実装